Linux標準教科書 第1章(v304対応)
Linuxとは
1.1 基本ソフトウェアと応用ソフトウェア
動作しているコンピュータには大きく分けて2つの部分があります。ハードウェアとソフトウェアです。ソフトウェアも大きく分けて2種類あり基本ソフトウェア(Operating System)OSと応用ソフトウェアはその上で動くアプリケーション(Word,Excel)などになります。
1.1.1 基本ソフトウェアの役割
基本ソフトウェアは応用ソフトウェアが動作する際に必要な「部品」を提供したり、ハードウェアという「資源」この場合はコンピュータが提供できる機能・能力を管理するという役割があります。
1.2 UNIX
Linuxの元になったUNIXがどうやって出来たのか説明です。
1.2.1 UNIXの誕生
1960年代にUNIXは米国の通信会社AT&Tのベル研究所で誕生しました。研究者である Ken Thompson氏が研究所の片隅で使われていないコンピュータを発見し、自分で考えた機構を試験運用するために、そのコンピュータにOSの基本要素となる幾つかのプログラムを搭載しました。これがUNIXの始まりと言われています。さらにソースコードと言われるUNIXの設計に関する基本部分をそのまま配布していたので、手に入れたユーザは独自に研究・開発・変更等を行うことが出来ました。
1.2.2 様々な分離・統合
配布されたUNIXはメンテナーの手によって自由に改造が施されました。その結果様々な団体や企業によりUNIXが作成されたためUNIXとしてのまとまりがなくなってきました。この問題を解決する為AT&Tが正式にライセンス契約をはじめUNIXを管理するようになりました。AT&TのUNIXをSystem Vと呼びます。
1.2.3 派生UNIX
互換OSも含めて非常に多くのUNIXが広まっていきました。その派生した中で大きな影響を及ぼしたのがバークレー版UNIXです。UNIXの開発者であるKen Thompson氏がカリフォルニア大学バークレー校にいた頃に作成した派生OSです。バークレー版UNIXはBSD(Berkeley Software Distribution)と呼ばれ、System Vと並ぶ流れを形成しました。
1.2.4 Linuxの誕生
1991年にネット上に「僕は今(UNIXに似た)OSを作っている」という投稿が流れました。投稿者はLinus Torvaldsという当時フィンランドの大学生でコンピュータの機能の学習からそのようなプログラムを描き始めていたようです。そのプログラムはネット上に公開されました。設計の基本はUNIXとそっくりでしたがSystem Vの流れもBSDの流れも持たない独自の UNIX互換OSでした。その学習のために作り上げた小さなプログラムは機能拡張やソフトウェア、ツールを組み合わせてUNIX互換のOSとして立派に動作するようになりました。そう Linuxが誕生しました。
一番の特徴としてライセンス契約です。GPL(GNU General Public Lienser :GUN一般公衆利用許諾)というものです。
- プログラムを実行する自由
- ソースの改変の自由
- 利用・再配布の自由
- 改良したプログラムをリリースする権利
Linuxは多くのディストリビューターにより開発され、非常に多くのユーザに使われるようになりました。
1.3 Linuxの特徴
1.3.1 カーネルとユーザランド
基本ソフトウェアは「カーネル」と「ユーザランド」の2つの領域に分かれます
カーネル
カーネルはオペレーティングの中核となる部分でハードウェアと直接やり取りするなどもっとも中心的な機能を受け持つ部分です。ハードウェアの違いを吸収してどのようなハードウェア上でも同じように動作する役割があります。
ユーザランド
OSが動作するのに必要なカーネル以外の部分の事です。ファイルシステムやファイル操作コマンド、シェルなどの基本的なソフトウェア群を指します。
1.3.2 Linuxを使う
Linuxは基本的にコマンドで操作します。コマンドはユーザランドで動作します。
1.3.3 シェル
コマンドは文字通り「命令」のことです。Linuxにはシェルという対話型のコマンド入力環境が用意されています。シェルはコマンドを理解し、実行します。
1.3.4 ログイン
Linuxでは利用開始時にユーザ名とパスワードを入力します。このユーザ名とパスワードの組み合わせをアカウントと言います。アカウントを使ってLinuxを使い始める事を「ログインする」と言います。
1.4 ディストリビューション
1.4.1 ディストリビューションの誕生
当社のLinuxはインストール作業が非常に困難で、一部のコンピュータのスキルが高いユーザした使うことが出来ませんでした。さまざまな団体がLinuxを使う上で必要なプログラムをまとめ簡単な手順で手軽にインストールが出来るようにしました。これがLinuxディストリビューションの始まりです。代表的なものとしてはRed HatやDebian Project、Ubuntuを開発しているCanonicalなどがあります。
1.4.2 パッケージ
パッケージはLinuxに対して追加機能を提供するものです。従来、応用ソフトウェアの実行をLinuxで行うにはソースをダウンロードして自らビルドする必要がありました。これは非常に時間と手間がかかります。この問題を解決するため、ディストリビューターの手によりビルドして応用ソフトウェアを簡単に導入出来るようにするためにパッケージが作られるようになりました。
1.4.3 パッケージマネージャ
パッケージを簡単にインストールしたり、アップデートするパッケージマネージャというものが標準で用意されています。Linuxディストリビューションには何らかのパッケージマネージャが必ず用意されており、インターネットに接続されていれば最新のパッケージ(パッケージやライブラリ)を導入、更新することが容易に出来るようになっています。
1.5 週末テスト(解答は下記へ)
(1) 基本ソフトウェアとして適切なものを選びなさい
- Word
- Excel
- Windows
- Linux
(2) 応用ソフトウェアとして適切なものを選びなさい
- Word
- Excel
- Windows
- Linux
(3) Operating Systemの役割として適切なものを2つあげなさい
(4) Linuxについて正しく述べているものを選びなさい
- AT&Aとライセンス契約を結んでいない組織が開発したUNIXのこと
- 開発者であるKen Thompson氏がカリフォルニア大学バークレー校に在籍していた時に作成した派生したOS
- Linuxはカーネルとユーザランドによって成り立つ
- 1960年代に通信会社AT&Aのベル研究所で誕生した
(5) パッケージを使って応用ソフトウェアを導入する利点を説明しなさい
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章末テスト解答
(1) 3. 4
(2) 1. 2
(3) ・応用ソフトウェアが使う共通部分を提供 ・コンピュータが提供出来る機能、能力を管理する
(4) 3
(5)ビルドして応用ソフトウェアを簡単に導入出来るようにパッケージが作られた